◆豪ドル円、消費者物価指数は利下げ観測を払しょくせず
◆ZAR円、カギソPMIが改善されるかどうか注視
(国際金融情報部・小野直人)
豪ドル円 91.00-96.00円
南ア・ランド円 9.20-10.20円
10月28日週の展望
7-9月期消費者物価指数(CPI)が前年比で市場予想の同+1.8%を大きく上回る同+2.2%となったことで、豪準備銀行(RBA)が年内に追加利下げするとの見方は後退した。豪ドルは底堅さが増した感があり、目先も戻り基調を維持しそうだ。しかし、足下のインフレ率は来年のインフレ見通し(2-3%)の上限には遠く、利下げ期待が完全に払しょくされていない点は注意したい。豪ドル高でインフレが抑制されることで緩和期待が再び高まり、豪ドルを圧迫することもあるか。さらに、中国に対する懸念も残る。中国当局による緩やかな金融引き締めが継続しているほか、構造改革の遅れで過剰な生産能力が縮小されず今後の経済成長が押し下げられれば、経済的な結びつきが強い豪州にも悪影響を与えかねない。
豪政局をめぐる不安も拭いきれない。先の総選挙では、炭素税廃止を公約にアボット首相率いる保守連合が勝利した。その後、企業景況感のもち直しが続くなど、新政権の船出は順調に思われた。しかし、最近の森林火災の拡大と気候変動との因果関係が指摘されたことで、与野党議員の間で炭素税廃止への反対論が高まっている。アボット首相は今後説得する構えだが、来月開かれる国会でこの公約を達成できなければ上下両院を解散するとしており、議会が紛糾する可能性がある。与党側が方針を変更して企業や家計に負担増を求めるなら、豪経済の回復ムードに冷水が浴びせられることになろう。これが直ちに豪ドル円のマイナス材料になるかどうかは不明だが、年末に向けての下押し圧力となることも考えられる。
ランド(ZAR)円は、足下のレンジでの推移となるか。南アCPIは前年比+6.0%と前月の同+6.4%から低下し、インフレ率が目標レンジである3-6%に収まったことが明らかになった。中銀による低金利政策の継続期待を高め、同国経済に対する前向きな材料になりうる。ZAR円にとっては金利面でのサポートが限られ上値の抑制要因となるが、景気回復への期待がマイナス面を相殺することで足下の底堅さは維持されるだろう。ZAR円は前月に大きく悪化したカギソPMIの結果を見ながら、限られたレンジで上下しそうだ。ただ、不動産価格の上昇に伴うインフレ期待の高まりから、中国当局が緩やかな金融引き締めを行う方針を示したため、中国の経済成長に対する不透明感がくすぶり始めていることには注意を払いたい。
10月21日週の回顧
豪ドル円・ZAR円は反落。米デフォルト回避に伴い目先のテールリスクが後退した。芳しくなかった米雇用統計を受けて米金融緩和が継続されるとの見方から、豪ドル円は95円後半、ZAR円は10.12円付近まで買いが先行した。しかし、中国が金融政策を引き締めるとの思惑がくすぶったことを手掛かりに、中国経済への警戒心からリスク回避の円買いが強まり高値から大きく押し戻された。豪ドル円は93円前半、ZAR円は9.90円付近まで下げ幅を拡大した。(了)
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